20周年を迎えたWICKEDあらすじ・曲解説!

Musical

ブロードウェイの大人気演目の一つ、『WICKED』が20周年を迎えました。

ミュージカルがとても好きですが、その中でも特に好きなのが『WICKED』

改めてあらすじや曲の意味からこのミュージカルの素晴らしいメッセージを受け取りたいと思っています。

この作品のあらすじや曲を紹介するのでWICKEDについて知りたい人
ミュージカルが好きな方に読んでいただけたら嬉しいです。

WICKEDってどんな話?

「オズの魔法使い」アメリカ国民なら誰もが知っている童話の前日譚を描いた作品。

「オズの魔法使い」は主人公ドロシーが竜巻に巻き込まれオズの国に飛ばされます。

そこで臆病者のライオン、脳を持たないカカシ、心を持たない木こりと共に、

家に帰りたい、勇気、脳、心が欲しいというそれぞれの願いを叶えてもらうため魔法使いのいるエメラルドシティを目指します。

Wickedではこのオズの魔法使いにつながる前日譚、オズの魔法使いを別の角度から見た話が繰り広げられます。

このブログではWickedのあらすじを曲と共に紹介します。

あらすじと曲

No One Mourns the Wicked

「西の悪い魔女が死んだ」と国民が祝い歌うシーン。

北の良い魔女グリンダも共に祝います。

グリンダは西の悪い魔女がどう生まれたかを説明する。

母親が愛人と密会、その後生まれた子供の肌が緑だった。これが西の魔女の誕生シーンとして回想されます。

その時、国民の1人から

西の悪い魔女とグリンダは昔友達だったのは本当か、と聞かれます。

歯切れが悪いグリンダ、そこで場面はグリンダが学生の時代へと転換します。

Dear Old Shiz

シズ大学の校歌が生徒たちによって歌われます。

ここでエルファバ(後の西の魔女)登場です。

緑色の肌が理由で生徒たちから困惑、好奇の目で見られ、避けられます。

反対にグリンダはみんなの人気者というのも描かれます。

そこにエルファバの父親であるマンチキンの国の領主と、車いすに乗っている妹のネッサローズが現れます。

父親がエルファバに冷たいこと、妹の世話役としてしか思われていないことが描かれます。

妹のネッサ(ネッサローズ)だけ銀の靴のプレゼントを父からもらいます。

この銀の靴は「オズの魔法使い」で出てくるアイテムになります。

The Wizard and I

マダム・モリブルが寮の部屋割を伝えに来ます。

グリンダは自分の書いたら「魔法の杖」についての論文を読んだか聞きたくてモリブルに向かって手を挙げます。

エルファバと同室になってくれる人を探していたモリブルはグリンダが名乗り出てくれたと勘違いして2人を同室にします。

2人ともショックを受けますが特にエルファバは妹の世話をすることに責任を感じていたので、変えてもらおうとします。

自分の訴えを受け入れられず、感情が高まったエルファバの魔法の力が暴走します。

力を使ったエルファバをネッサは責めエルファバは謝ります。

力を見たモリブルはとても嬉しそうに、エルファバの魔法の力を評価します。

初めて人に認められたエルファバは、驚き、喜び未来の希望と共に「The Wizard and I」を歌います。

What is this feeling?

ルームメイトになった2人

全く性格の異なる2人は相いれません。エルファバとグリンダどちらも生まれて初めての感情を持ちます。この気持ちは一体何?!

動揺する2人は歌いだします。グリンダは同級生を味方につけながら、お互いの気に入らないところを挙げていき、最終的にやっぱり嫌いだわ!と締めくくられます。

Something Bad

シズ大学での授業シーン。ヤギのディラモンド教授の講義が行われています。

グリンダは最初はガリンダという名前の呼び方を自分でしていますがディラモンド教授はうまくガリンダと言えません。このこともあり後にグリンダは呼び方をガリンダからグリンダに変えています。

教授が黒板をひっくり返すと、そこに教授が動物であることに対して差別的な言葉が書かれています。ディラモンド教授は授業を終了します。

エルファバは教室に帰ってきてディラモンド教授と話します。

その中でディラモンド教授が「何か悪いことが起こっている、オズの動物たちの言葉が奪われ始めている」と歌い、段々教授の歌声も言葉からヤギの鳴き声になっていきます。

Dancing Through Life

場面転換し生徒たちが集まっている中、フィエロが登場します。

イケメンで王子であるフィエロは注目を集めます。

その頃グリンダはボックに好意を伝えられますが、全く興味がなく

登場したフィエロに声を掛けます。

フィエロは学校の勉強なんて意味がない、踊りあかそうと歌い踊ります。

他の学生も一緒に踊り、この後ダンスホールに行こうという話になります。

ボックはもう一度グリンダに話しかけます。「1曲だけでも踊ってほしい!一晩中でも待っている」と

グリンダはボックに自分が喜ぶのはもっと違うこと、向こうにいる車いすの少女(ネッサ)に声をかけてくれることよ、と言います。ボックは君のためなら何でもする、とネッサを誘いにいきます。

グリンダはフィエロと一緒に行く約束をします。

一方ネッサとエルファバ。ネッサは誘われたことに喜び、その機会を作ってくれたグリンダに感謝します。

ネッサからグリンダがこの機会を作ったと聞きエルファバはグリンダに話しかけにいきます。

グリンダは自分のいらない黒の魔女帽子をエルファバに渡します。

場面転換してダンスホール。

グリンダとフィエロ、ネッサとボックが踊る中、黒い魔女帽子を被ったエルファバが現れます。

自分があげた帽子を被って一人現れたエルファバを見てグリンダは一緒に踊りに行きます。

徐々に2人の中に友情が芽生えています。

Popular 

寮の部屋に戻った2人。

すっかり仲良くなった2人。

グリンダはいい考えがあると言います。

自分のように誰でも人気者にすることができる!と歌います。

そして人気者になる方法を伝授します。

グリンダはエルファバの美しさに気づきます。

場面が変わって教室。

ディラモンド教授が最終日だと伝えます。

動物は教えることが許可されなくなってしまったそうです。

ディラモンド教授が連れていかれ、子供のライオンが教室に持ち込まれました。

エルファバはライオンのことを思って魔法の力を使いライオンを連れ出し逃します。

その時フィエロと2人になり、エルファバの中である感情に気づきます。

そして歌い始めます。

I’m not that girl

私はあのことは違う、彼に似合うのはあんな女の子、と。

マダムモリブルがエルファバを見つけます。

そして、オズの魔法使いがエルファバに会いたいと言っていると伝えます。

ここでもう一度Wizard and Iのテーマが流れます。

オズの魔法使いに会うためにエメラルドシティに向かうエルファバ。

見送りにネッサ、ボック、グリンダが来ています。

フィエロはエルファバに花を渡しにきました。

グリンダはフィエロは自分のことを見てくれないと嘆きます。

グリンダを元気つけたいエルファバは、一緒にエメラルドシティに行こうと誘います。

グリンダはすっかり元気になり喜びます。

One Short Day

エメラルドシティに到着した2人。

目に映るものが何もかもエメラルドで、驚き心躍らせます。

エルファバは誰も自分の肌の色を変な目で見ないという生まれて初めての経験に歓喜します。

A Sentimental man

そしてついにオズの魔法使いと対面します。

エルファバが挨拶するとオズの魔法使いのマシーンの後ろからおじいさんが現れます。

オズの魔法使いの正体はこのおじさんでした。

そしてオズの父になりたい、と歌います。

エルファバを育てよう、deserve chance to flyと歌います。

そこにマダムモリブルも登場します。

魔法使いとモリブルはエルファバに魔法使いの猿に翼を付けて欲しいと言います。

エルファバが魔法の本の呪文を唱えると、猿から翼が生えてきました。

しかし猿は苦しんでいます。

魔法使いとモリブルはエルファバの力に喜びました。2人がこの力を使って国を治めよう、動物をさらに追放しようとしていることが分かりました。

エルファバは賛同できず逃げ出し、グリンダは追いかけます。

Defying Gravity

モリブルは自分たちの悪事が明るみに出ないよう、エルファバは悪い魔女であると宣言します。

グリンダはエルファバに手遅れになる前に謝るように言います。

エルファバは自分にはそれは出来ない、

他の人の決めたルールに縛られずにどこまでも自由に飛ぶと伝えます。

そしてグリンダに一緒に来るように、2人なら出来ないことは何もない、unlimitedだと伝えます。

グリンダは自分は一緒に戦うことはできないと伝えます。

お互いの幸せを願いながら、別々の道へ行くことを決意します。

Sentimental manのシーンでdeserve chance to flyという言葉が出てきます

Defying gravityではIt’s time to fly と歌います。

Thank Goodness

数年後、グリンダは良い魔女としての地位を確立しています。

隣にはモリブル、フィエロがいます。

民衆が集まる中、フィエロには許可を取らずに婚約を宣言します。

そして集まった民衆はエルファバの話をし始め、色んな噂を口々に言います。

エルファバの肌は綺麗な水で溶けてしまう…など。

フィエロはそんな噂を信じている民衆に驚き、グリンダにここから去ろうこんなことは辞めようと言います。

しかしグリンダは出来ないと言います。

フィエロは君が幸せなら結婚すると言ってその場を離れます。

グリンダはフィエロと婚約できたけど自分に気持ちが向いてないことも分かっており、どこか浮かない気持ちです。

しかし民衆に向かってI couldn’t be happierと歌い上げます。

場面が変わり父の跡を継ぎ総督になったネッサとボックがいます。

突然エルファバが部屋に現れ、ネッサに助けて欲しいと頼みます。

ネッサはなぜ助けなきゃならないのかと言います。自分のために力を使ってくれたことはなかった、と責めます。

エルファバは魔法の本を使ってネッサが歩けるように呪文をかけます。

ネッサは喜びボックに歩けるようになったと伝えます。それを見たボックはもう付き人はしなくていいと出て行こうとします。

そんなボックにネッサは怒りを露わにし、魔法の書にあった呪文を唱えます。

すると、ボックは心臓が痛いと苦しみます。

ネッサは慌ててエルファバにどうにかするように言います。

エルファバは心臓がなくても大丈夫なように、ボックをブリキ男にする魔法をかけてしまいます。

Wonderful

もう一度オズの魔法使いの部屋に訪れたエルファバ。

魔法使いは、手を組まないかと改めて誘います。エルファバは羽の生えた猿の解放を条件に、誘いを受けようとしましたが、ディラモンド先生がただのヤギになった姿を見て改めて一緒には出来ないと言い放ちます。

魔法使いはエルファバを捕えるよう命令し、隊長になっていたフィエロが部屋に入ってきて再会します。

フィエロはエルファバを逃がそうとします。

そこにグリンダも何が起きたのかとやって来ます。

フィエロはエルファバと一緒に行くと言い去ってしまいます。

I’m not that girl

エルファバが学生時代に歌った曲のリプライズを、今回はグリンダが歌います。

As long as you’re mine

逃げる2人はやっと心が通じ合った喜びを歌います。

フィエロは自分はbrainlessかもしれないし賢いかもしれない、エルファバが物事の違う見方を教えてくれた、と歌います。

エルファバはネッサが危険な目に遭っていると察知します。(モリブルの策略)

そしてネッサの元へと駆けつけます。

ネッサがいた場所にはグリンダがいました。

場面には映っていませんがドロシーを見送った後のシーン

エルファバが到着すると竜巻で飛んできた家に潰されネッサはすでに亡くなっていました。

集まってきた兵隊にエルファバが捕えられそうになったのをフィエロが助けに来て、エルファバは逃げられましたがフィエロは捕まってしまいます。

No good deed

エルファバは捕まったフィエロを助けようと呪文を唱えます。

そして自分は善い行いをしようとしても裏目に出る、といい今後は悪い魔女として生きることを決意します。

March of the witch hunters

ブリキ男になったボックが先導してエルファバを捕らえるよう歌います

エルファバがかつて助けたライオンも、エルファバのせいで今のように気弱になってしまったことにされています。

グリンダはこんなこと辞めさせるようモリブルにお願いするが叶いません。

ブリキ男にライオン、「オズの魔法使い」でドロシーと一緒に旅するメンバーには

こんな背景があったのか、と分かります。

For good

エルファバのいる城にグリンダが訪れます。

グリンダは全てをみんなに話すと言います。

エルファバはみんなに全てを話すのを止めます。

そしてI’m limitedだと歌います。

2人とも色んなことがあったけど、今はお互いを許している。お互いがいたからこそ変われた。

エルファバは魔法の本を渡し、グリンダに託します。

Defying gravityではunlimitedだ、限界はないと言っていたエルファバが

For goodではI’m limited、自分には出来ないと歌います。

この対比が悲しく、切ないです。

その後、ドロシーに水をかけられエルファバは死にます。

残されたのはグリンダが上げた帽子と緑の瓶。

その瓶を見てオズの魔法使いは、自分が昔好きな人(エルファバの母)にあげたものだと気づきます。魔法使いはエルファバの父親だったのです。

そしてグリンダは魔法使いとモリブルを追放します。

場面は最初の始まりの場面に戻ります。

Finale”WICKED”

西の悪い魔女が死んだとみんなが喜んでいるシーンです。

かかしになったフィエロがエルファバが隠れてる地下から助け出します。

捕らえられたフィエロを助けようとエルファバが魔法をかけた結果、フィエロはかかしに変身。

そして「かかし」も「オズの魔法使い」でドロシーと旅をしたメンバーです。

フィエロもエルファバも、死んでいなかったのです。

2幕最初で民衆が「綺麗な水で悪い魔女は死ぬ」という噂を信じていたのを逆手に取り、

ドロシーに水をかけられ死んだふりをしました。

事実を知らないグリンダはエルファバとフィエロ、愛する二人を失った悲しみを抱きながら

私は良い魔女でいたい、と宣言します。

安全のために誰にも生きていることを告げずにエルファバとフィエロは去ります。

誰もエルファバの死を悲しまない中、1人グリンダだけが彼女を想っていました。

最初と同じシーン、歌を繰り返すことによって受け取り方の違い、

どの視点で物語を見るかで全く異なる物語になります。

最後に

WICKEDは何が善で何が悪なのか

物語を通して差別や対比を描き、曲も歌い手の違いシーンの違いで全く異なる受け取り方になる効果的な使い方をしています。

見方によって全く異なる物語が浮かび上がってくることを伝えてくれている素晴らしい作品です。

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