こんにちは!日々を楽しく暮らしたい30代女子です。
今日は役所広司さん主演映画「PERFECT DAYS」についてのレビューをしていきたいと思います。
「PERFECT DAYS」基本情報・概要
監督:ヴィム・ヴェンダース
代表作は「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」
メインキャスト:役所広司
役所広司さん演じる平山の生活を描く本作。役所広司さんの演技の上手さが映画に輝きを与えています。
あらすじ:
東京でトイレの清掃員をしている平山(役所広司)。
彼の朝のルーティーンは、静かで、規則正しく、美しい。
目を覚まして仕事の準備を始める。カセットをかけて車を運転する。いつもと同じトイレの清掃に向かう。仕事が終わると銭湯で汗を流して、いつもと同じ居酒屋でいつもと同じメニューを食べる。
同じことを繰り返しているように見える彼の日々だったが、繰り返しの中で思いもしない出来事や過去に思いはせる瞬間が訪れる。
それはまるで木漏れ日のように意識して見なければ通りすぎてしまうような些細な変化。
平山はその一つ一つを愛おしく見つめるように、生きている…
30代女子、映画を観て感じたこと
映画を観て感じたことは「私たちはすでに幸せなんじゃないか」ということ
平山の生活は資本主義でいうところの「裕福」ではないのかもしれない。
それでも、彼は幸せそうだ。
好きな音楽を聴く、本を読む、植物を育てる、なじみのお店があって眠るところに困らない。
丁寧な彼の暮らしは悲哀を感じるよりも人生の美しさを際立たせてるように感じた。
この作品を観て思い出した話がある。「漁師とMBAコンサルタントの話」。
色んなパターンがあるようだけれど、おおまかに言ってしまうと
漁師にMBAコンサルタントが聞く。どのくらいの時間でこの漁をしたのか、と。
漁師はそんなに長い時間ではないと答え、残りの時間は家族と過ごしたり友人と歌ったり食事をしたりして一日を過ごしたと言う。
漁師にMBAコンサルタントはアドバイスする。もっと漁に時間を使ったり、効率化することで多くの収益を上げることができ億万長者になることができる、と。
漁師はその後どうなるのかと尋ねる。MBAコンサルタントは言う
億万長者になった後は家族と過ごしたり友人と歌ったり食事をしたりして一日を過ごせる、と。
この話にはいろんな教訓が含まれていて、必ずしも漁師やMBAコンサルタントのどちらかがいいと正解が決まっている訳ではない。価値観やバランスによって変わってくる。
今回言いたいのはどちらがいいということではなくて、平山の生活を見ていて、この話を思い出したということ。
既に私たちは欲しいものを手に入れているのではないかと、気づかされた。
私の周りには大切な友人がいて、夕日がきれいだとか日々美しいと思う出来事がおこっている。
忙しさや不安なことに追われて、世界の美しさに鈍感になってしまっているのだなと感じた。
生きるのが辛く思えるとき、この一瞬のきらめきに目を凝らすことができたら、世界はすでにperfectdays なのかもしれない。
ラストの役所広司さんの表情と音楽が、ともかく素晴らしい。
考察
※映画の内容を含むのでどんな内容もネタバレしたくないという方は鑑賞後に読んでいただくことをおすすめします。
平山について
平山の過去については多く語られない。断片的に見える情報から判断すると、裕福な家庭で育ったことがうかがえる。
それは平山のもとに妹が訪ねてくるシーンで、妹の暮らしぶりは裕福そうで、「昔好きだったでしょう」と持ってくるお菓子はデパートなどで買う商品だからだ。
妹が「父さんも昔みたいじゃないから」というセリフにもある通り、父親と平山の間になにか確執があったんだろうなと感じられる。
他の人の人生について
平山の一見すると繰り返しに見える人生の中で、時々ルーティーンから外れる出来事が現れる。
その一つ一つ、一人ひとりの人生に深入りしていくととても気になるドラマ、それこそ映画ができるくらいのものになりそうだ。でも深入りはせずに、その日その人がくれる分の時間をその人に使うことをするので他の登場人物については多くは語られない。
日々私たちも電車の中で隣に座る人の人生には大きく関わらない。この感じがとてもリアルだ。
公式サイトについて
今回ブログを作成するにあたり、改めて公式サイトを見てみた。
この力の入れようがすごかったので紹介させてほしい。
PERFECT DAYS 公式サイト (perfectdays-movie.jp)
映画を観た後にみると仕掛けの深さに思わずうなりたくなる。
夢の中にいるような、木漏れ日の光の中で見るような文字、映画にならなかった平山の353日。
鑑賞後にぜひ体験してみてほしい。
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